SEワーママの日常

小学生と保育園児2人のママ。フルタイム勤務でIT関係の仕事してます。なんでも雑多に書きます。買ったもののレビューは忖度なしで書いてます。

『新失敗学 正解をつくる技術』感想

失敗について最近興味があったので読んでみた。

この本を読もうと思ったきっかけ

システム開発をしていると必ず遭遇するのが障害。
障害を失敗と捉えるかは人によるだろうけど、大半の人は失敗と捉えると思う。
では失敗学においてシステム障害をどのように対処すればいいのか?と気になって最近は失敗に関する本を読んでいた。(ブログ記事にはしてないものが大半だけど…)
今回は有名な畑村洋太郎さんの本を読んでみた。

参考になった内容と感想

仮説と検証を繰り返す。
仮説を立てるために自分の中でモデル化して当てずっぽうでもいいからとにかく形にしてみる。

日本は詰め込み型教育は得意だけど、正解のないものに対する対処が苦手だ、と本に書いてあったけど全くそのとおりだと思う。
では正解のないものに対する対応はどうすればいいか?は仮説と検証を繰り返すことだと。
自分の中で仮説を立ててそれを検証する。
システム開発の手法も全体的なフォーマットはあるといえど、毎回プロジェクトによって進め方や方法は全然違うので私も細かな仮説と検証を繰り返しているなと感じている。
別のプロジェクトで学んだことが次のプロジェクトに活かせることもよくあるので、これには納得。

失敗は適度な失敗でなければならない。
命や心身に影響を及ぼす失敗はダメ。
悪い失敗は手抜き、インチキ、不注意、誤判断。

失敗にも悪い失敗があるというのが目からウロコだった。
確かに命や心身に影響を及ぼす失敗はだめだよね…
例えば医療機器のシステムなんかは特にそう。
あとは証券のシステム。
これも大障害に繋がると取引ができなくて死ぬ人とか出てくるし…
そういったシステムの失敗が起きないために小さな失敗=テストをたくさんしていくんだよね。
で、テストでも手抜きや不注意、誤判断なんかはだめだ、と。
不注意や誤判断は全部が全部だめなんじゃなくて、以前失敗したことを同じように繰り返すことがだめだと言っていて、仮説や検証を繰り返して次に起きないようにする対応が必要という点については納得。

正解はあると思い込んでいる、正解を速く出す人が評価される、失敗に不寛容なことが日本文化として根付いているが、良い失敗には寛容になれるように変えないといけない。
何のためにやっている作業か問い続ける。 これまでの日本は欧米に追いつくことに価値を見出してきたが、追いついてしまうとその目的を失ってしまい停滞してしまった。
価値は誰かに与えられるものではなく、自分たちで作り上げていくもの。

この点についてもめちゃくちゃ納得。
今の日本は目指す先がない。
価値も多様化してきていて、同じ方向に向いてみんなが動けない。
いや、もうみんなが同じ方向に向かって動く時代でもないのかもしれない。
システムだってオンプレオンリーだった昔に比べたら今はクラウド諸々選べてきてて、これからはアプリケーションに関してはAIもかなり脅威な時代。
どこへ向かっていけばいいか正解がない時代に今の日本のやり方がまずいのは私自身も感じているので、会社で偉くはなれないしなりたくもないけど失敗に寛容でありたいし、適度な失敗をできるような環境作りをしていきたいな、と感じる。

想定外と時間軸を考慮する。時間が経つと考えは変わるもの。想定外の事象を考えることで見えてくるものもある。
失敗地図を作り失敗経験を共有すること、メンターを入れてチームの成長を促すことが組織に有効では。

想定外と時間軸の考慮についても最もだな、と感じた。
システムも想定外を考え始めるとキリがないんだけど、それでも想定はしておいて障害が起きたときのインパクトを抑えることは大事だなと思うし、なにかを決定するときも「こう」と思い込むんじゃなくて今後を見据えて想像しながら対応することも重要かな、と思う。
全部が全部うまくいくわけではないけどね。

全体を通して納得感のある本だったけど、いかんせん具体性に乏しい本だった。
具体性に乏しい点についてはしょうがないのかもしれないけど、今後の自分が目指す方向を考える上ではいい本だったなーと。
あとは自分の仕事や生活にこの本で学んだことをどう仕組み化していくかは別途考えていかないといけないと思うけど、これも仮説と検証を繰り返していかないといけないなーと思う。 具体的に失敗したときにどうすればいいか、みたいなノウハウを知りたい人には向かないけど、失敗に関する考え方を知るにはいい本だったと思う。